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スタッフブログ

大坂 崇徳 2023.04.03

伝統と様式美と現代の融合

4月に入りました。

今年も早4分の1が過ぎ、

街路の桜も満開で春真っ盛りです。

 

なんの捻りも無い感想を申しますが、

時の流れが速いですねえ。

 

人は、経過した人生の長さに比例して

時間の流れを速く感じると、

何かの本で読んだことがあります。

 

自分もそれだけ歳を重ねたのだなぁと、

今さらながら実感させられます。

 

今週は、歳を重ねながらも、

感性は常に磨いていたいと思っている

大坂が書かせていただきます。

 

とは言っても出来ることは

限られているのですが、

建築に限らず本や雑誌をたくさん読み、

気になったものは、機会をつくって

実際に見て体感しようと心掛けています。

 

先日、法事で訪れたお寺は、

本堂を建て替えたばかりでした。

 

素晴らしい木材や、匠の技が光る

伝統的な意匠と納まりに

見入っていましたが、

よく見るとその中に

現代の技術や工法を上手に融合した

細部の工夫があるのがわかりました。

 

ご住職に許可を得て

写真を撮らせて頂いたので、

ご紹介したいと思います。

 

外観は、本瓦葺きの入母屋、

平入りで、シンプルながら

どっしりと重厚感のある構えです。

 

 

寺社仏閣の外観の比例の美しさには

いつも惚れ惚れしてしまうのですが、

この本堂もとても整った

プロポーションをしています。

 

屋根を支える木組みや木鼻の造作の精密さ、

彫刻のような飾り彫が施された虹梁、

連続する垂木の織り成す

軒裏の陰影と微かな反りを持った

軒先の稜線の美しさなど、

この正面の外観だけでも

とてもたくさんの要素が

つぎ込まれています。

 

 

 

ちなみに、

虹梁の中央で桁を支えている部材を

蟇股(かえるまた)といい、

時代や建物ごとに様々な装飾が施された

職人の腕の見せどころのひとつです。

 

 

余談ですが、

日光東照宮の有名な眠り猫も

蟇股の装飾のひとつなんですよ。

 

たくさんの要素と装飾、

でもそれらがバラバラに

主張しているのではなく、

全体として調和しているから

美しいのだと思います。

 

長い年月をかけて

磨き上げられた様式美。

 

それが現代の技術で、ここに新たに

再現されていることに感銘を受けました。

 

内部の控室の床の間には、

伝統的な堅い様式ではなく、

柔らかな印象の曲がり材の

落とし掛けが使われています。

 

 

天井は、和室の定番の

杉式目板張りなのですが、

竿縁を幾何学的に施して、

デザイン的にはむしろ洋風な要素を

取り入れています。

 

 

襖の引手には、

黒塗りの縁と対比するような

金色の装飾金物が使われていました。

 

 

でもよく見ると引手の中にも

少しだけ黒塗りの部位があり、

金色が悪目立ちしていませんね。

 

こちらの美しい桧の柱には、

黒い部品が付けられています。

 

 

実はこの柱を境に屋根が下がって

玄関になっていて、この柱の裏側で、

ちょうどこの位置に

梁が刺さっていると思われます。

その仕口をボルトなどで緊結した

端部を隠している部品だと思います。

 

 

伝統的な仕口なら、ここは

ホゾ刺し楔止めになるのだと思いますが、

現代の耐震基準に合わせて

金物を使いつつ、

意匠的な解決も試みているようです。

 

本堂の外陣も、伝統的な様式を

踏襲しつつも現代の要素も

組み込まれています。

 

白漆喰に桧の柱が凛と建つ真壁造りで、

美しい格天井が目を引きます。

 

 

そこにぴったりとはまる様に

照明が仕込まれています。

 

 

内陣との境には、

ケヤキの丸柱と虹梁、

木組み桝などが設えられて、

内陣の格を上げている印象です。

 

 

丸柱に刺さる鴨居や長押の仕口の

美しさには脱帽するばかりです。

 

 

 

建具も部位と用途ごとに

それぞれ凝ったつくりなのですが、

障子のデザインなどは住宅にも

採用出来そうな気がします。

 

 

 

内陣には入れませんが、

写真のお許しは頂けたので、

ご覧ください。

 

これは、折上げ小組格天井という

最も格式と技術が高い

天井の様式のひとつです。

 

 

ため息しか出ません。

 

最後に、私が見つけた

職人の粋な仕事をご紹介します。

 

廊下の柱です。

 

 

よく見ると、

木目の中央にひし形に

埋木してあるのがわかります。

 

 

おそらく、

節があったのだと思います。

 

さりげない配慮ですが、

素晴らしい技術と心使いですね。

 

寺の本堂という特別な用途と

伝統と様式美に裏打ちされた建築ですが、

それらが現代の技術で再現されて、

さらに新たな要素やデザインまで

施されている。。。

 

とても刺激を受けました。

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