大坂 崇徳 2025.01.27
1月も最終週になり、
もうすっかりお正月ムードは
無くなって平常運転ですね。
割と暖かな年末年始を過ごして、
今年は薪ストーブの出番が少なそうだなぁ、
などと考えている大坂が、
今年初めてブログを書かせて頂きます。
今回は、昨年に施工した
トイレの改装工事のご紹介を
したいと思います。
便器の交換など、
トイレの改装は非常に多い工事ですし、
既存の排水管位置などのいくつかの
ポイントを押さえれば、
比較的安易な工事です。
しかし、この事例は何点も問題点があり、
計画も施工も非常に難しいものでした。
お客様の話ですと、
以前に相談したリフォーム会社からは、
希望通りには施工出来ないからと
断られたそうです。
現況は、以前はよく見かけた床に
段差のある和式のトイレです。
段差は、約22cmほどです。
また、トイレには前室があり、
前室とトイレの間でも床に段差があり、
脚が引っ掛かりそうな沓摺も付いています。
お客様のご希望は、
ご高齢なお父様のために
段差のない床にすること。
洋式便器に替えること。
可能なら、
タンクの手洗いではなく、
しっかり洗える独立した
手洗い器を設置すること。
床や壁の仕上げ材には
お手入れがしやすいものを採用すること…
などでした。
しかし、これらの実現がなかなか難しいのです。
まず、戸建ての住宅ですが
構造躯体が重量鉄骨であり、
構造や設備に関する図面等の資料が
何も無い。
そしてトイレの床がコンクリートスラブで、
その下を確認する点検口やピットも無く、
資料からも現地調査からも現状を
詳しく把握することが出来ませんでした。
既存の排水管の位置が分からず、
どんな洋式便器が付けられるのか分からない。
床の段差の中に、
どんな障害物があるのかも不明です。
手を加えられない構造躯体と
現状の仕上りまでの寸法も分からないので、
どんな便器をどの位置に付けて、
どんな仕上げ材を採用出来るのかも未定です。
そもそも床の段差を無くせるのかも
確信は持てないのです。
ですので、様々な可能性の中から
想定される完成予想を事前に数種類ご提示して、
慎重に工事を進めながら、
計画自体を常に修正しながら、
お客様と打合せをして、
完成までたどり着きました。
結果は、ご希望をすべて実現できました。
お住まいながらの工事ですので、
玄関からトイレまでの養生は施工中のみとし、
毎日作業後は撤去できるように
ブルーシートで行いました。
そして、解体業者に慎重に
段差部分を解体してもらいます。
躯体を壊すわけにはいきませんし、
中に配管などがあるかもしれませんので。
すると、給水管が出てきました。
調べると、これは元の和式便器の
タンクへの給水管でした。
ですので、撤去が可能です。
排水管は想定より、かなり前から出ていました。
このままでは便器が付けられませんが、
新築時にかなり大きく躯体に穴が
開けられていました。
なので、この穴の範囲内で
何とか配管を切回して、
予定していた新規洋便器の適応範囲内に
配管を修正しました。
配管位置の適応範囲が広い便器を
選んでいたのが功を奏しました。
また、解体が完了して
スラブの高さが分かりました。
思ったよりも前室の床との差が少なく、
トイレ内に新規に床下地を組む
空間が無かったので、
急遽、床下地は左官屋業者に
モルタルで造ってもらうことに。
また、壁には便器や手洗い、
カウンターや手摺などが
後々しっかり取付けできるように、
あらかじめ下地補強をしておきます。
で、完成した様子がこちらです。
壁にぴったりとタンクやカウンター、
手洗い器などが納まっています。
前室からの床のつながりも、
完全にフラットに一体化しています。
実は便器と一体の機器なのですが、
独立した手洗い器も付いています。
しかも自動水栓です。
お手入れしやすいように、
床はPタイル貼り、壁は高めの腰壁を
メラミンパネル貼りとしました。
反対側の壁には、L型の手摺も設置しました。
様々なネガティブな可能性も
説明しながらの工事でしたが、
結果的にはご希望にお応え出来て
良かったです。
きっと快適に使って頂けることと思います。
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