日々の暮らし 2015.03.24
春本番ですね。
次から次へと咲き始める草木の花々に日々感動しきりです。
中でもハクモクレン(白木蓮)は、思い入れのある樹木の一つです。
実家のお墓のあるお寺では樹齢推定350年にもなるハクモクレンがありました。
お彼岸の頃になると白く艶やかで香りのいい花が
一気に膨らみはじめ開いていく姿は、ちいさな頃から圧倒されていました。
明治時代の文豪の詩にも詠われ市の文化財にも指定された
そのハクモクレンも昨年樹齢がつき惜しまれながら伐採されてしまいました。
残念ですが、木も生き物だということですね。
350年。時代を見守ってきた樹の生命力に驚きます。
先日大規模リフォームが完成したばかりの横浜市のA様邸を
ご紹介したいと思います。
一番古いところでおそらく60年以上は経つだろうという
歴史のある木造の一軒家をリフォームさせていただきました。
小さい頃をここで過ごしたお母様と、娘さんご夫婦、
そしてまだよちよち歩きのお嬢さんのお住まいとして、
屋根と構造体以外はほぼスケルトンでの大規模リフォームです。
最初の調査の段階で一見の間取りは分かりますが、
何度か増改築を繰り返してきた建物では、
全貌を掴むのはなかなか難しいです。
弊社技術スタッフや、専門職の協力業者の力も借りながら、
プランの計画性に無理はないか、構造補強や、設備関連などを
何度も調査を重ね検証しました。
しかしそれでも、壁の中で構造がどうなっているのか、
何が隠れているのか、最終的には解体してみてようやく全貌が解ります。
解体もほぼ終わった頃、再度みんなで現場を調査しに行きました。
予測していたものを答え合わせするような感覚です。
技術責任者の大坂の解説が始まりました。
『ここが最初の建物』
『きっとここがその後に増築したところ』
『きっとその前はここに縁側のようなものがあったのかも』…
お母様から伺っていた建物の歴史と家族の歴史が重なり合い、
その家族の暮らしの営みを思い浮かべると胸が熱くなりました。
ここに新しい風を吹き込む
その歴史を尊重しながら、
新しく始まる家族の暮らしを思い浮かべ、
最善で最高の家づくりをする。
手前味噌ですが、
私たちの技術力と設計力の腕の見せどころです。
リビングの一角にある畳コーナー。
元はキッチンがあった場所です。
窓の取り方も庭木が望めるように変えました。
玄関入って正面のコーナーに、
元の玄関でも使われていたペンダントライトを。
お母様がずっと昔に選ばれたお気に入りの照明も
白い壁に近づけ配光が美しいです。
元々あった時代を感じるガラスや金物、
玄関ドアに組み込まれていたガラスブロックも生かしました。
対面キッチン側をみる。
窓の外には柿の木を囲むようにウッドデッキ製作中です。
ここで七輪でさんまを焼きたいというご要望も叶えられそうです!
上の写真の窓の外に見えていた梅の木。
この木も元々あった梅の木は新しい位置に設けた玄関ドアの目の前に。
お引き渡し頃、ちょうど咲き始めました。
今までも、それからこれからのご家族の暮らしを
見守っていってくれるんでしょうね。
安藤
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