日々の暮らし 2022.07.25
こんにちは。設計の安藤です。
暑い暑い夏がやってきましたね。
暑中お見舞い申し上げます。
先週末、心地よさを求めて、
海水浴客でにぎわう
熱海へ行ってきました。
写真はその道中、
小田原江之浦の海です。
生い茂る濃い緑の奥に
深い深い海の青。
とても美しい自然の色です。
見に行ったのは、
昭和のモダニズムを代表する建築家、
吉村順三氏の手掛けた個人宅です。
Tu es mon tresorというデニムブランドの
ポップアップshopとして限定公開されている
という情報をみつけ、なんとか駆け込み、
見に行くことができました。
https://www.instagram.com/tuesmontresor_official/
何度か吉村建築を体感する
機会はありましたが、
毎回その空間に身を置くと、
空気感・佇まい、目に入るすべてのものに
心地よさを感じ、
この場で易々と表現できないほどの
感動を覚えます。
吉村さんの建築は、令和の今でも、
住宅を志すものにとって
とても大きな存在です。
遺された控えめな言葉の数々は、
その空間にいる人がいかに
心地よく感じるかを
大切にされたものばかりです。
開口部のとりかた、そのディティール、
華美でない素材感、図面で描かれている
丁寧な線がつくる上品で控えめな空間、
そして景観に溶け込む外観。
ここで多くを語ることは
おこがましいですが、
写真では伝わらない
その空間の体感をできたことは
本当に貴重な体験でした。
その中で今日は、
色彩と空間のつながりについて
書こうと思います。
まず色彩。
吉村さんはよく床にカーペット
を使われています。
今回も部屋ごとに異なる色のカーペット
を使われていました。
その色の選び方にはやはり
ちゃんとストーリがありました。
リビングやダイニングでは、
その先の庭の芝とつながって
いくようなモスグリーン。
北側の廊下にはその裏のコケ庭の
緑が映えるように深い赤のカーペット。
書斎では、海の青さにグラデーション
するような青のカーペット。
自然がつくる美しい色に敬意をもち
建築に反映されているように感じました。
だからでしょうか、
色という主張は目障りになっておらず、
開口部を通して内と外が
自然に馴染み空間がつながっています。
部屋と部屋のつながり方も、
この当時から今も変わっていません。
ゆるく空間をつないだり
区切ったりしたいところには、
日本古来の引き戸という便利なもので、
なんともさりげなく採用されています。
吹抜を通して二階のフリースペース
へつながっています。
子供室として計画されていたので、
この吹抜への開口部分にも
引き戸があったそうです。
それにしてもこのコージーな
フリースペース、
居心地の良さ、たまりません。
ソファのファブリックも
当時のままだそうです。
ダイニングからキッチン側を見た写真です。
キッチンの雑多なものが
見えないくらいの高さまで壁となり、
そのうえが引き戸で
つながりあっています。
他の写真でもわかるように
リビングとダイニングの間にも
引き戸があり、
これだけの広さですから、
LDKというものがそれぞれ
独立もできるようになっています。
そのそれぞれの高さの取り方が
絶妙なのです。
十分吉村建築を堪能してきました。
写真や文章では伝わらない空気感。
体感して学ばさせていただく
貴重な機会でした。
実はこの機会をつくってくださった
このジーンズブランドさん、
私には手の届かないお値段で
今回購入はできませんでしたが、
自然由来の染色や素材感、
こだわってデザインされ作られていて、
何よりとてもやわらかく
肌触りのいいものでした。
いつかきっと、、、。
弊社の事例も少しご紹介。
HPにて新しく施工事例で
ご紹介させていただいる
三角屋根のお住まいですが、
畳コーナーの奥にある障子の戸。
実は開けると、
階下への階段室とつながっています。
そして階段室の窓ともつながり、
風の通り、光の通りに非常に有効です。
空いている写真がなかったので、
ここでご紹介。
空気の流れ、光の流れ、
人の動線の流れ、色合いの流れ、
暮らしの動きに合わせ、
上手に空間同士をつなげていかれるような
設計をしていきたいと思います。
さて夏本番。
犬たちの夏休み。
よく遊び、よく寝ます。
皆様も今年こそよい夏休みを！
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