日々の暮らし 2024.06.24
こんにちは。
夏至と共に関東も梅雨入りのようですね。
(骨董の器に我が家の庭のアジサイとイロハモミジ)
私事ですが、じめじめした梅雨時に
毎年1つ歳を重ねます。
若い頃には想像もしていなかった年代に
そろそろはいります。未知です。
社内はありがたいことに
同年代は多いので、
目が見えないだ―腰が痛いだ―と、
なんやかんやと迫りくる老いと
抗い戦う仲間がいることは
とても心強いです。
そんな話をしていたら、お客様に
『目が良くなる本』をいただきました。
自分でも、歳を重ねることを
ポジティブに受け取り素敵に歳を重ねている
フランス人の本を買いました。
老いに従います。
抗いつつ、上手く加齢と
付き合っていきたいと思います。
先日、世田谷美術館で開催されている
『民芸/MINGEI』展へ行ってきました。
民芸とは、
『約100年前に思想家の柳宗悦は
日常生活の中で用いられてきた
手仕事の品々に美を見出し
『民衆的工芸=民芸』
の考え方を唱えた』
とあります。
用の美。
職人さんの手仕事により生まれる
機能的で美しい生活道具。
今もなお
私たちの暮らしのすぐそばにあります。
暮らしに根ざし使ううちに
さらに味わいを増す民芸の品々。
今も続く日本の民芸の産地のものや、
世界各地のものを衣食住に
テーマを分けて展示されており
とても見ごたえのある企画展でした。
写真は昭和初期に日本民芸館で
生活展が開催された時の
テーブルウエアを再現した展示。
なんでしょう、
日本のみならず
世界の民芸が集まって
重なってもしっくり馴染むこの感じは、、。
柳宗悦の言葉に
『民芸には人と物と環境の良い関係がある。』
『そして民芸は人を拒絶しない愛くるしさがある。』
『美しく暮らすということが暮らしを豊かにしてくれる。』
そんなような言葉がとても印象的でした。
少し前に高層階のマンション
リフォームをさせていただきました。
最初に住まい手の方の言葉の中で、
現状のお困り部分の1つに、
『住んでいるという感覚がつかみづらい』
というようなニュアンスのお話をされました。
確かに高層階のため、
空は近くお天気を感じやすいことは
とてもいいのですが、
廻りに家や木々があるわけでもなく、
ましてマンションの最初の内装は
だいたい無機質なモノが多いのが原因なのか、、、。
これはなんとかしたい、
他にもお困りの部分は多々あれど、
ちゃんと住まいになってほしい。
そこでなるべく有機的な印象になるように、
素材感や民芸感を意識しました。
既存のフローリングは状態が良いので
そのまま。
収納部屋となっているリビング横の
お部屋の間仕切りを取り払い、
リビングからつながる
趣味室とさせていただきました。
趣味の楽器や本などが
暮らしの中に入ってきて、
それを取り巻く造作の素材に
無垢材を使ったり
色合いを工夫したりして
目や肌なじみに配慮しました。
実は本棚の背面は真っ赤な
壁紙を使っています。
これが本を入れることにより、
赤が中和されちょうどよくなってきます。
↓これはリフォーム前の本棚。
↓↓↓
本棚はリビングからも見える位置に。
本棚の奥は赤い壁紙を!
そしてリビングの窓には
カーテンをウィリアムモリスの
いちご泥棒を採用しました。
生地が上手にとれていないので
メーカーより画像拝借。
ウィリアムモリス。
19世紀活躍したイギリスの
思想家でありデザイナー。
当時機械技術が発展し大量生産が暗躍し、
手仕事や熟練の技術や美しさが
失われていく中、
芸術と生活を融合するために活躍。
アーツアンドクラフツ運動です。
まるで日本の民芸です。
このモリスがこちらのお住まいでも
とても良い働きをしてくれました。
モリスの柄は、
自然の草木や花や鳥たちを
モチーフにしたものが多く、
その色合いも
たくさんの色を使いながら
どこか優しくやわらかいです。
民芸的な優しく愛くるしい住まいに
なれていたらいいなと願います。
いつも完成したときに思うのですが、
熟練の技術は表立って目立ちません。
どこか自然に普通になんともなく
出来上がっているように感じます。
ただ、
少しずつ、
時間をかけて、
その熟練の技術や手触り、
考え抜いた視線の抜け、
風の抜け、光の入り方、動線、
空気感を味わいながら
心地よさを感じていただけたら
いいなと思っています。
使うほどに味わいが増す
民芸のように。
人の頭で考え、
人の手が加わった住まいは、
きっと住む人の暮らしに
ちゃんと寄り添います。
時間がたつほどに
しみじみいい住まいだと
思っていただきたい。
経年劣化ではなく経年美化で
あってほしいです。
と、
人も歳を重ねるほど、
そうありたい(笑)
さて、そんなこれからの
住むほどに経年美化の楽しみな
お住まいの完成見学会が
お客様のご厚意により
行われることになりました。
(匠の技!)
見て感じていただければと思います。
追ってHPでご案内します!
ぜひご来場ください。
(※予約制ですが)
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