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スタッフブログ

大坂 崇徳 2015.07.07

(番外編)建物探訪記

今年はカラ梅雨かな?なんて思っていたら、
7月に入ってからはずっと雨続き。
じめじめした陽気ですが、
皆さんは体調を崩したりしていませんか?

今日は七夕ですが、天の川やおりひめとひこぼしも
拝めそうにありませんね。
今週は、梅雨時は持病の腰痛と耳痛に悩まされる
大坂が書かせて頂きます。

この1週間では、解体完了検査が1件、木造軸組み検査が1件、
完工検査が1件ありました。

さて今回は、いつもとは少し趣向を変えて、
最近私が見た建物についてご紹介したいと思います。

もうひと月以上前のことですが、
北海道へ小旅行をする機会に恵まれました。

主たる目的は3歳になる息子を旭山動物園へ連れて行くことでしたが、
私の密かな楽しみは、北海道の美味しい食材にありつくことと、
余市蒸留所を訪れることでした。

数年前にテレビの映像で見た、
自然の中にたたずむ趣のある工場の建物群は、
建築好きにはたまらなく興味を惹かれるものでした。
そして、そこでは今でもモルトをつくり続けていて、
見学者は無料で試飲することも出来るとなれば、
ウイスキー好きなら行かずにはいられません。

かくして、旅行の道程に余市蒸留所を組み込みました。

昨年から今年にかけてテレビドラマの題材として話題になり、
とても混んでいるとの情報もあって少し心配したのですが、
当日は小雨混じりの天気ということもあってかなり空いていました。

2015.7.7Jyoichi1

余市蒸留所は、1934年に創業者である竹鶴政孝によって設立された
ニッカウヰスキーの聖地です。
敷地面積は132,000㎡もあり、工場というよりは自然に恵まれた
リゾート地のような印象です。

2015.7.7Jyoichi2

2015.7.7Jyoichi3

2015.7.7Jyoichi4

ですが、建物ひとつひとつを良く見ると、
北海道の厳しい気候に耐えるように、
とても重厚な組石造であることが分かります。

可愛らしい印象の赤や緑のとんがり屋根も、
冬の雪深い気候を考慮してのデザインだと思います。

さらに細かいところを見ていくと、
こんな雪国独特の設えも目に付きます。

2015.7.7Jyoichi5

壁から出ているの排気筒ですが、雪が積もってしまわないように
小さな庇が被せてあります。

どの建物も、製造工場の建物でありながら、どこか趣があり、
どっしりとこの土地に根付いている感じがするのは、
きっと地元の石材を主に築かれ、
土地の気候に根ざした形態をしているからなのでしょう。

2015.7.7Jyoichi6

組石造の建物に窓などの開口部を造ることは、
古くはヨーロッパなどの建築の発展の歴史そのもので、
この建物の入口に見られるアーチはその大きな特徴のひとつです。

2015.7.7Jyoichi7

そして上部の窓には「まぐさ式」といわれる、
壁を構成する石材とは別の材を横に渡して
上部の荷重を支える方式で窓が設けられています。

2015.7.7Jyoichi8

ひとつの建物に、部位ごとに違うデザインが使われているのも
面白いですね。

中に入ると、屋根の構造は実は木造で、
この大きな空間を確保しつつ雪の重さに耐えるように、
トラスという構成で屋根を支えていました。

2015.7.7Jyoichi9

空間の広さに対して差ほど大きな部材ではありませんが、
各所の補強には鉄材も施された木材で巧みに構成されています。

重厚でありながら、どこか素軽い印象の外観は、
このような構造の構成から来るものなのかもしれませんね。

このへんは、やっぱり日本の建物だなぁ、
と感じずにはいられません。

敷地内には、工場や倉庫の建物以外に
住宅や事務所棟なども建っています。

2015.7.7Jyoichi10

組石造に木造の屋根という構成は同じですが、
少し装飾的になり、スケール感もなじみ易くなりますので、
一層可愛らしい印象です。

とくに、この旧竹鶴邸は一部木造の部分もあり、植栽の緑に囲まれて、
とても落ち着きのある佇まいが印象的でした。

2015.7.7Jyoichi11

2015.7.7Jyoichi12

内部は一部屋しか公開されていませんでしたが、
和洋折衷の内装で、漆喰の白と木材の茶、
漆の黒のコントラストが特徴的で、
建築当時のこだわりが感じられました。

2015.7.7Jyoichi13

2015.7.7Jyoichi14

どの建物もとても興味深く、時間を忘れて見入ってしまいました。
建物そのものの面白さももちろんあるのですが、どの建物からも、
そして蒸留所全体にも、当時から続くウヰスキー造りに対する
情熱やエネルギーのようなものが強く漂っている気がしました。

造っているものは違いますが、
同じくもの造りに携わっている人間として、
何かとても大切な力を少し分けてもらえたような、
そんな充実した建物探訪でした。
大坂

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