蓮実 正貴 2016.06.28
こんにちは。設計課の蓮実です。
熊本大地震から2か月が経ち、今回の被害状況を
各専門家の方々が分析・検証した内容が専門誌等に
掲載され始めております。
私共でも今回の震災の状況を受け、改めて耐震の重要性、
必要性を再認識させられました。
今回のブログでは基本中の基本に戻ってしまいますが、
耐震補強の必要性とその理由、その補強方法について
お話させて頂きます。
【耐震の必要性①】
・柱頭・柱脚金物の取付
耐震補強工事の中で一番、簡易的ながらも効果の大きい方法です。
ではなぜこれが必要なのでしょうか?
写真↑ 地震動の力によって、柱が土台部分から
外れてしまいそこから倒壊したケースです。
写真↑ 接合部の金物補強。
これで? と思われるかもしれませんが、この金物によって
約500kg~1tの引抜く力に耐えられます。
(金物の形状によって耐力が異なります。)
地震の時、揺れによる引抜く力が大きく建物にかかってきます。
地震での倒壊、損壊の大半はこの接合部の破断や外れから
バランスを崩して壊れていくというパターンがほとんどです。
【耐震必要性②】
・耐力壁の確保及び金物の設置
前述の①は、端部での補強方法。
それに対して②の補強方法は面としての補強方法です。
ここでも大切なのは、
筋違の端部に金物を取付けて固定する事です。
写真↑ 筋違は写真の通り斜めに入っている材料ですが、
強い地震動を受けた時、規則正しい動きをしない為、
筋違の中央部が手前の方に弓のようにしなり、
結果、端部に力が集中し外れる。。。
外れてしまうと耐力壁としての効果はゼロになってしまう為、
損壊や倒壊に繋がってしまいます。
倒壊現場などの映像で、筋違の材料はそのまま原形を
とどめて倒れているのは、これが原因によるものです。
前述以外にも、
・建物の軽量化
・上下階の間取りのバランス
・耐力壁の配置バランス(重心と剛心の関係性)
など、耐震を考える上で大切な事は他にもたくさんありますが、
個々の条件によって必要性が変わってきます。
今回の様な連続地震に対する対策についても
対策が必要とも言われております。
現在、私共の地域では東海地震や南海トラフ地震に
対する懸念が心配されておりますが、
実際、耐震改修が思いのほか進んでいないという
実態もあります。。。
今回お伝えしたいのは、
耐震の方法論をお伝えしたい訳ではなく、
耐震についての必要性を考えていただき、
少しでも安全に向けた一歩を踏み出して頂ける
きっかけになって頂けたらという思いで書かせて頂きました。
蓮実
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