平野 聡史 2016.10.10
こんにちは、設計の平野です。
先週は新築・リフォームと物件のお引渡しが続きました。
お引渡しの時というのは毎回とても複雑な気分になります。
時間をかけてお打ち合わせした内容が図面からカタチになり、
無事に完成まで辿り着いた、という安堵の気持ちと、
「大事にしてもらうんだぞ…！」と
大切に育てた娘を嫁に出すような、
少し寂しい気持ちが入り混じります。
お引渡し前日の夕方に最後の仕上げ・調整を行っていたら
いつの間にか暗くなった外の気配を感じながら
まさにそんな気持ちになっていました。
私にはふたりの娘がいますので、
その気持ちが間違っていないのか？
本当に分かるのは20年後くらいでしょうか。
いや、そんなことはあまり考えたくありませんね！！
先に進みましょう！
さて、今回はその完成物件の一部を
ご紹介させて頂きたいと思います。
川崎市の住宅地内での新築工事。
第一種住居地域内にあり、
高さ制限はそれほど厳しくない区域のため、
周囲にはマンションや3階建ての戸建て住宅が
建ち並んでいる立地です。
その、周囲との関係性の中でﾌﾟﾗｲﾊﾞｼｰを保ちながら、
上手に明るさ・風通しを得て居心地の良い空間を造ることが、
やはり非常に大事な検討事項でした。
必然的に、条件の良い2階に
暮らしの中心を置く2階LDKﾌﾟﾗﾝとなり、
その良さを最大限生かせるように
勾配天井にして広がりのある空間が望まれました。
お打ち合わせ初期には、
ダイニングスペースの天井を高くするのか？
それともリビングスペース？？というところから
お施主さまもかなり悩まれ、それぞれ実際の完成物件を
ご案内しながら検討を重ねていきました。
結論としてはリビングと、隣接させたタタミコーナー（床高さフラット）
をひと続きの勾配天井にして伸びやかな空間にしたい！
という案に落ち着きました。
まずは外部から見てみます。
「西側外観」
西側接道のため、こちらがファサード面。
南に向かって上らせた片流れ屋根に、
ブルーの外壁は窯業サイディング。
はねだした2階が玄関の庇がわりになっています。
真南はお隣の家が隣接しているので、
主な採光はこの西面と、お隣が少し引っ込んだ、
角の南西面からによるところになります。
「東側外観」
裏側は東面。
1階の個室は防犯を考慮して格子付き窓。
2階の上部横長の窓はキッチン背面収納上のFIX窓です。
気持ちの良い朝日が差し込んでくれるはず。
その下は通気用に開くすべり出し窓。
南側のお隣側には、風をキャッチ出来るように開く タテすべり窓です。
実際、この窓を開けるとキッチンに気持ちの良い風が抜けてきました。
次は内部から見てみます。
「LDK西側」
屋根勾配なりに南から北へ一直線に
下がっていく天井は、ツガの羽目板張り。
右が床とフラットになるタタミコーナー
（畳が入る前の写真ですみません･･･）
造り付けのTVカウンター上のでっぱりは、
壁掛けTV金具を取り付けるための補強と、
配線を通すためのスペースを兼ねたフカし壁です。
外周部の壁内は断熱材でパンパンですので、
壁掛けＴＶを設置するためには壁を厚く（フカす）して
スペースをつくる必要があります。
大きなテレビ（70インチ！）を掛ける予定ですので、
TVを掛けたらこの出っ張りはほとんど隠れて
気にならなくなる想定！
「LDK東側」
対面キッチンのダイニング側は棚を造作。
背面収納も造り付け家具。
吊戸棚上の窓が明るさを取り込みます。
「LDK ｷｯﾁﾝから見る」
キッチンから見て右側の壁は、タモの突板を張って大きな
パネルのように見せた壁です。LDKの中央に位置する、
コア的な部分として印象づけたいところがあり、
ご提案させて頂きました。
「タモ壁」
1階から上ってきたところ
反対は屋上へ行く階段
LDKに洋服が掛けられるクロゼットがあるのは便利です。
そのタモ壁の上、屋上へ出る踊り場部分の足元へ
つながるように開口をつくりました。
「開口」
屋上へ出るテラスドアは大きなガラス入りですので、
この開口から間接的に明かりが入ってくるようにした仕掛け。
これが意外と効いて、明るいのデス！
「屋上」
これから、ブラインド・カーテンなどの窓装飾が付いてくると、
落着き感が出てくることだと思います。
お住まいになられてからの感想をお聞きするのが楽しみであり、
少しドキドキするところであります。
Ｎ様
今後とも末永いお付き合いのほどよろしくお願い致します！
平野
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