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大坂 崇徳 2019.03.04

既存建物の大工さんの仕事 ~厚木市内の解体完了検査にて~

3月に入り、寒さも少し緩んできた気がしますが、
あいにくの雨模様が続いていますね。
ひどい花粉症の私には恵みの雨(?)のような気もしますが、
やはり春らしく晴れてほしいなぁとも思う今日この頃。
皆さんはいかがお過ごしでしょうか?
今週は、最近は温かくて薪ストーブに火を入れる
必要もない夜があって、少し寂しくもある大坂が
書かせていただきます。

この1週間では、解体完了検査が1件、
基礎配筋検査が1件、木完検査が1件、
外装完了検査が1件、完工検査が1件
ありました。

今回は、その解体完了検査で目にした、
既存建物の職人さんの仕事ぶりを
ご紹介したいと思います。

実は以前にも同じように、私共で大規模な
リフォームをさせて頂いた建物の、元々の
職人さんの手仕事をご紹介したことがあります。
職人さんの手仕事

その時は建具屋さんでしたが、今回は大工さんの手仕事です。

これは、土台の継ぎ手です。
継ぎ手とは構造材のつなぎ目の加工のことで、
様々な方法がありますが、
ここでは「追掛継ぎ(おっかけつぎ)」という
継ぎ手が造られています。

土台の継ぎ手は基礎の上にあることがほとんどなので、
最近ではあり継ぎやかま継ぎなどの比較的簡易な
継ぎ手が用いられます。

写真の継ぎ手は、基礎の無い(つまり下から支えてくれるものが無い)
位置なので、当時の大工さんは梁などに用いられる追掛継ぎを
選んだのだと思います。

元々は「追掛大栓継ぎ」と言って、
合わせた左右の構造材に横から2本の込み栓を打ち込むのですが、
ここではボルトで縫い合わせています。

かなりの年数が経っていますが、とてもしっかりとしていて、
まだまだ当時の配慮が生きている状態です。

また、この大きな開口部の上にある梁には、中央に1本の吊束が
下がっていて、この吊束が内法の鴨居を支えています。

この吊束と梁の接点をよく見ると、
先ほど言った込み栓が刺さっています。
しかも、長いまま残してあります。

 

この込み栓は、梁に下から差し込まれている吊束の
ほぞを横から貫通して、吊束が抜けないように
するためのものなのですが、なぜ先ほどの土台のように
ボルトや釘などではなくて込み栓なのでしょう。

これも昔からある大工さんの知恵なのです。

間口の大きな開口部を造るには、
大きな梁を掛けなければなりません。

しかし、木材は乾燥の過程で反ることはもちろん、
自重で梁の真ん中付近が下がってしまうこともわりとあるのです。
すると、下の鴨居も真ん中が下がり、
障子などの建具が動かなくなってしまいます。

そのような時に、天井裏に入ってこの込み栓を一旦抜き、
梁と吊束の固定を解いて、下から吊束をさらに梁に差し込む
などして鴨居の下がりを直してから、
改めて込み栓を打ち直す・・・ということが出来るようにしてあるのです。

今ほど木材の乾燥技術が発達してなかった時代の、
大工さんの工夫に感心してしまいます。

そして、これは和室の廻縁を入隅で外したところです。

 

留め加工がむき出しになっています。
こちらが女木で、ここに男木が刺さった状態が、
元々の美しい廻縁の留め加工の姿です。

しかも手が込んだ2重廻縁で、下端の面に着色が施された
おしゃれなデザインですね。

解体完了検査は、既存の建物の状態を見極め、
その後の構造補強や造作の方針などを決める
とても重要な検査であると同時に、
建物に込められた様々な職人さんの仕事ぶりに
触れられる楽しみな検査でもあります。

それまで隠れていた職人さんの仕事ぶりを目の当たりにすると、
そのこだわりや人柄までにじみ出てくるような気がします。

以前のブログでも書きましたが、
私共が携わった建物を未来の人々が目にしたときに、
ちゃんとしてるなぁと言ってもらえる仕事をしていきたいと、
改めて思いました。

大坂

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