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安藤 るみ子 2019.06.10

百聞は一見に如かず ~懐かしい佇まいの建築を訪ねて~

あっという間に6月、梅雨入りですね。

梅雨入りのことを「栗花落(ついり)」ともいうそうです。

梅の熟す頃の雨、それから、栗の花が咲き散る頃の雨。

どちらも、季節の移り変わりを植物の移ろいにたとえ、

言葉として受け継がれてきた日本の美徳を感じます。

 

少し前、五月晴れの恵まれた日に岐阜県に行ってきました。

岐阜は多治見。

タイルなど陶器などで有名な町です。

ずーーーっと行ってみたかった「ギャルリ百草」。

雑誌やネットで度々拝見するも、五感で感じる心地よさは、

実際に訪れてみないとわからないものですね。

 

 

 

 

 

 

 

多治見の駅からとても歩ける距離ではありませんでした。

小高い山間の雑木林に囲まれた場所にひっそりとあります。

 

陶作家である安藤正信さんが1998年に

「消費社会から離れて、

「もの」と人とのかかわりを新しい世紀に向けて考え直したい」

と開廊。

 

名古屋市鳴海地区から築100年を超える民家を移築し、

衣食住にまつわる生活の「もの」を展示しています。

 

ゆるやかな小径を木々に囲まれながらゆったりとのぼり、

昔ながらの木造住宅の安心感のある佇まいに魅了されながら、

玄関の土間で靴を脱ぎ、中へ。

 

併設されているカフェは混み合っていたので、

順番を待ちながら、

懐かしさ漂う安定した空間で「もの」と向き合う。

 

縁側や階段の丸太手すり、

欄間や床の間に残る真壁の和室。

移築された建物ですから、

この建物で人々が暮らしてきたんだなという佇まい、

これが懐かしさという安心感、

そして心地よさにつながるのでしょうか。

 

多治見は陶器の町。

アプローチでは、排水路の底やアプローチのポイントに、

石に交えてタイルが使われています。

懐かしさの中に地場産業もさりげなく取り入れる、

なんとも粋な活かし方でした。

 

多治見といえば、

もう一つ「多治見モザイクタイルミュージアム」も必見です。

普段から当たり前のようにタイルを取り入れることを提案していますが、

その成り立ちをちゃんと勉強したことはなかったかも、、、(汗)

 

 

 

 

昨今SNSの普及で、こちらの外観は

ご覧になったことがあるかもしれません。

私も画像ではみていましたが、いざ訪れると圧巻です。

設計は、藤森照信氏。

草屋根やツリーハウスなど、自然を生かし

共生しようとする姿勢は世界でも有名です。

 

タイルの原料を採掘する粘土山を連想させる外観は、

周囲に高い建物がないこの地でも、地場産業のシンボルとして、

柔らかく優しくどっしりと存在していました。

 

そして何より、

土壁に埋め込まれたモザイクタイルやらお茶碗のかけらやら、

とにかくかわいいのです!

萌え~(すでに死語でしょうか、、、)なのです。

色や柄のセンスが絶妙!

これもですね、

写真ではなかなか伝わらないのかと思います、、、。

 

百聞は一見に如かず。

昨今では「100SNSは一見に如かず、、、」

といったところでしょうか?

 

現代社会ではインターネットは

なくてはならないものになっています。

このおかげで私たちも様々なことを知ることができ、

効率よく過ごすこともできています。

本当に感謝です。

世界の遠いところまで旅した気分にもなれます。

見た気もします。知った気にもなってしまいます。

でも、実物や本物をみると、五感が動きます。

絵画や演劇、コンサートなどもそうですね、

映像や画集で見るより、

実物をみたほうが心が動き感動します。

五感を動かすことが大切なのだと実感。

(まぁ、行きたいところどこでも行けるわけではないのですが)

 

冒頭の季節の言葉も、風景となる建築も、

五感を動かしできたもので、

そうしてできたものはずっと心に残る気がします。

 

住まいをつくるものである以上、

五感を磨き、それぞれの心地よいところを

つくっていきたいと思います。

子どもたちにとっては、また大人にとっても、

五感を働かせられる基本の場所になるわけですから。

 

お恥ずかしながら、

大学入学とともに実家を出た息子が一年で帰ってきました。

 

3時間はかかるであろう通学を思うと

それはそれは大変でしょうに。

最初は新しい環境に胸躍らせ意気揚々と旅立ちましたが、

安い鉄骨造のアパートはビニールに囲まれたような環境で、

風の通りも悪く、いつしか体調を崩すようになったようです。

 

戻りたい理由は、この「息苦しさ」。

 

私も長居はできないような環境でしたので、

さすがに理解できました。

 

そう思うと彼の育った環境は、古い木造の住宅ですが、

風も通りますし、昔ながらのジュラク壁や畳のあるような家で、

途中でリフォームしても、

なるべく珪藻土や無垢床にこだわりましたので、

息が苦しいようなことはありません。

なるほどね、

と彼が少なからず体感してきたことが、

良かったように思います。

 

 

 

写真はNさま。

子どもたちは、心地よい場所を知っています(笑)

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