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スタッフブログ

日々の暮らし 2011.05.24

素朴なモノ、コト、空間。

少し前の話ですが、今年のゴールデンウィーク、
皆さんはどのように過ごされましたか?
報道でも震災の影響で『自粛ムード』という言葉が飛び交い、
旅行や遠出を控えられた方も少なくないと思います。
かたや、被災地以外の観光地でも、
全くの閑古鳥状態で活気のなくなってしまった街を
なんとか盛り上げようという報道も目立っていましたね。

震災以降、何度か通りかかった近場の観光地。
ご多分に漏れず、いつも混んでいる通りも
震災以降は閑散としていた姿を思い出し、
溜まった家の片付けを済まして、
いざ近場観光へ出かけてみました。

今回は目的もなしに箱根や鎌倉へ。
どちらも名所や素敵なお店がたくさんある街ですね。
鎌倉へは江ノ電を使い、鎌倉駅まで。
ついつい歩いていると立ち寄りたいお店がたくさん。
素朴な木の雑貨や家具、器などが目に入ると
ついつい足が向いてしまいます。
たまに乗る江ノ電もいいですね。
当たり前に感じていた海の風景も、
江ノ電に乗れば、気分はもう『世界の車窓から』です。

※江ノ電写真を撮り忘れてしまったので、アジサイで有名な明月院の写真を)

そしていざ箱根へ。
こんな時だからこそ、灯台下暗し、
箱根の玄関口の箱根湯本を歩いてみました。
いつもは車で通りすぎるだけのこの街も、
歩いてみると本当に素敵な空気を感じることができます。


国道から少し中へ入れば、歴史ある旅館や食堂、
お饅頭屋さんなどが立ち並び、街中を流れる早川から
涼しげな川の流れの音を感じながら、お散歩できます。
改めて、風情ある『ザ・にっぽん』という光景に癒されます。

箱根湯本では『まんじゅうや菜の花』
というお店が駅のわきにすぐあります。
小田原や箱根に数店店舗を構えていらっしゃいますが、
お土産を買うときもお茶をするときも密かに私のお気に入りです。

なにせ、お店を設計されたのが、
尊敬するデザイナーの小泉誠さん。
素朴な素材やシンプルな色合い。
これが絶妙なバランスで空間を造っています。
何気ない素朴な素材も過度な装飾をせずに、
丁寧に丁寧に扱われ、
素材自体が活かされ、
あくまで『まんじゅうや』であることをしっかりと表現しています。


※外観:出入りがし易く大きく通りに開放しています。


※内観:大きな無垢のテーブルに、大きな花器が存在感を。


※トイレの手洗いは、ペーパーホルダーと、花器がさりげなく共存。


※トイレのドア。こんな表現がにくいです!

そしてこちらの店主さんの『暮らしの道具店』という取り組みもとても好きなのです。

小田原駅前のまんじゅうやの2階にあるのですが、
箱根湯本のお店にも少し商品は置いてあります。

『自分が使っていて良いもの。人に使ってもらいたいもの。』
の生活道具たちが、たくさん扱われています。
だいたいが、手触りのいいものだったり、
丈夫で長持ちするものだったり。
素朴なデザインのものばかりですが、
丁寧に丁寧に作られたものたちばかりなのでしょう。
手にするだけで、
ほっこりと安心できる感覚になるようなものたちばかりです。

さらに足を延ばして、箱根登山鉄道で宮ノ下まで。
ここも車を停めづらいので、いつもは通り過ぎるだけでした。
今回は大丈夫。電車だと思う存分、歩くこともできます。

おすすめは、駅近くの『ならやCAFE』。
残念ながら閉館した、
かつての奈良屋旅館さんの
若旦那さんご夫妻が、ゆくゆくは海外の旅人に
気軽に泊まってもらえるリーズナブルな宿も作りたい
との夢を持ちながら、
かつての従業員寮だった建物に手を加えて
造られたという小さなカフェとギャラリーです。
昔の建物の名残を活かしつつ、
箱根の山々を望むオープンエアな空間は、
ホッとできる癒しのカフェです。
外には足湯もあり、歩き疲れた足をリフレッシュしてくれます。

ゴールデンウィーク最終日は、
都内神田で治療院を営む友人のもとへ。
今回の震災で構造的に安心できるビルへ
引っ越しをしたのでお祝いがてらに。
そのまま友人と馬喰町へ。
馬喰町には、栃木県益子町にある『スターネット』という
益子焼の器のお店の東京店ができたとのことで、
母の日のプレゼントをと思いながら訪ねてみました。
ここでも素朴な器やオーガニックな食品類など、
厳選された商品たちが丁寧に並べられています。
その中で、ならの木でできたお箸を母の日用に選定。
手の小さな母には、ちょうど良いもち加減のものを選びました。

おなかがすいたのでちょっと歩くと、
『ふくもり』という山形の郷土料理のお店がありました。
おもわずおなかがペコペコだった友人と私は
飛び込んでしまいましたが、ここが大正解なお店でした!

ここもまたシンプルで素材の持ち味を生かした
素朴なメニューばかり。おまけに身体にやさしい。
思わぬ大都会の中での心もお腹もあたたまる
素朴なごちそうに、とても幸せな気分になりました。

さてさて、なんだか休暇中の日記のようになってしまいましたが、、、。
何気なく歩いた街で出会ったものやお店や風景やごちそう、、、
私はあらためて気が付かされた気がしました。

素朴が好き
シンプルが好き、ということに。
素朴でシンプルで当たり前のものたちが、
こんなにも心穏やかに和ませてくれるとは。

普段何気なく使っているモノ、食べているモノ、
触れているモノ、見ているモノ、
人それぞれ心地よく感じる程度は
違うかもしれませんが、
それが『本モノ』であれば、
心地悪く感じることはそうそうないのでは、
とおもうのです。

私が休暇中に出会った『モノ』や『空間』たちは、
どれもきっと丁寧に丁寧に
気持ちを込めて作られたものばかり。
それを手にとったり、口にしたりした瞬間、
とても幸せな気持ちになるのです。

作り手の気持ちだったり、
思いだったり、
考えだったり、
深く深くその一つのモノができるまでに
詰め込まれているのです。

最近は『ジャパニーズスタンダード』という表現で、
日本の工業製品も改めて見直されています。

たとえば、キッコーマンの醤油さし。
東京オリンピック以前から使われ続けているロングセラー商品です。
2009年にはグッドデザイン賞も受賞しています。

しょうゆを注いだ後、
たれないようになっている口の角度などのこだわり。
数々の醤油さしを試しましたが、
これに勝るものはないと思っています。
丈夫で使いやすいシンプルなデザイン、
これが使い続けることのできる条件ですね。
きっとこのシンプルなデザインが完成するまでに
研究が何度も繰り返されてきて誕生したのでしょう。

昔ながらの日本人のモノづくりの考えは、
まず堅牢で長持ちすること。
何年たっても廃れない普遍的なデザインであること。
まさに、これこそ、エコなことだと思います。

何かを作り出せば、必ずそれの行き場所がある。
それがゴミになるのか、地球に還るのか。
造った以上は社会的責任があります。
ゴミになるとしても、
そのサイクルは少しでも長いほうがいい。
直しながらでも長く長く使えれば、
ゴミになるまでの時間は長くなる。

私たちは何かに急いで、
安易な考えでモノづくりをしてはなりません。
深く深く考え、丁寧に丁寧に作られたモノたちは、
そのあとも丁寧に丁寧に使い続けていかれるはずです。

休暇中、そんな丁寧な『モノ』たちにたくさん出会い、
私たちも、『キッコーマンの醤油さし』のように
長く長く愛され持続していかれる
家づくりをしていきたいとあらためて思いました。

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