設計 2021.07.05
半夏生ず。
夏至から数えて11日目、だいたい7月2日頃からが半夏生。
この頃に降る雨を『半夏雨』といい、大雨になることが多いそうですね。
まさにこの週末の半夏雨も大雨に見舞われ、
大変な被害となってしまいました。
この半夏雨の頃までに田植えを済ませ、農家がひと段落する節目とされ、
この日の天候でその一年の豊作を占う習慣もあったとか。
こういう言い伝えや習わしを聞くと、
昔から人間は、天候や自然環境そして季節の移ろいを
細やかに感じ取り、深くかかわり、分析し、それを言葉や風習、
または折々の祭事として言い伝え、祈りを捧げ、
自分たちの安全や暮らしを守ってきたのですね。
こういう言い伝えはちゃんと伝承していきたいものだと思うと、
季節の節目を感じられる住まいをつくることも、
家をつくる私たちができることだと思います。
雨の時期の花は、紫色が良く生えます。
こちらはただ今絶賛オープン中の期間限定モデルハウス『ぼくらのいえ』の庭先です。
コロナの時代、なかなか完成宅への案内が難しくなってきている中、
お客様のご厚意で、8月の末までお借りして、
皆様にご覧いただける機会を設けることができました。
ほんの少しだけ暮らしのシーンをご紹介させていただきます。
リビング階段を下りながらみえるキッチンやダイニング。
ダイニングテーブルも弊社でデザイン、製作を行っています。
その先にウッドデッキやお庭へつながります。
キッチンの手元が見えづらいように対面カウンターを少し高めにしています。
カウンターの下は、足で蹴ってしまいやすい場所なので、
杉の無垢板を貼りました。
その対面キッチン廻りの美しいおさまり。
手触りのいい絶妙な面取りや、なめらかな優しい手触り。
ダイニング側から、羽目板貼りの足下が軽やかに見えるような絶妙な目透かし具合。
そして、板の小口が見えてこない、自然な出隅のおさまり。
キッチンの背面には、オリジナルのカウンター収納を。
シナ材の面材に、取っ手はナラの無垢材でアクセントにしています。
コーヒーやお茶の道具など、手に取りやすい高さにオープンの棚を。
ツールを引っ掛けられるように、真鍮のバーも壁に取り付けました。
余談ですが、引っ掛けている小さなほうき。
意外とコーヒーや細かな粉類をこぼしてしまった時などの
瞬時の掃除に便利なのですよね。
1坪ほどの吹き抜けよりリビングをのぞみます。
和室がメインのリビングになります。
あえてダイニング側に障子を設けて、ゆるやかにつながりを持たせています。
和室側は窓に和紙調のプリーツスクリーンを設けています。
見づらい写真ですみません。
LDKから直接行かれる洗面コーナーです。
その奥が脱衣場となり、洗面室側に光を少しでも受けられる
ように大きなFIX窓を設けました。
引き戸も造作で、シナ材を使っていますが、引き戸のスリットの引手に
ガラスを入れています。
美しい階段の横顔。
なんともない階段ですが、シンプルで美しいおさまりです。
今回の『ぼくらのいえ』は、
私たち(ぼくら)がこれまでたくさんのリフォームや新築を手掛け、
培ってきた経験を踏襲した優建築工房が提案する住まいです。
私たちの推奨する環境配慮型設計を軸に、
その先にある『優しい暮らし』を目指し、
奇をてらわない自然な設計や、長期的にメンテナンス性や
堅牢さを深く考えた施工技術、そして関わる職人さんたちの技の数々。
普通である中に普遍的に『いいもの』と感じられる住まい。
大胆なこと、特殊なこと、奇抜なこと、そんなことはあえてしていません。
経年で変化していくさまが自然に美しく違和感なく暮らしに馴染むこと。
光や風の感じ方、毎日のその季節の細やかな移り変わりに気が付くこと。
普通の中に、暮らしていく中で大切なことをたくさん詰め込んで、お渡ししたいと思います。
そしてそこに住われる住まい手が、それぞれの色に馴染ませ育てていって
(ぼくら)のいえにしていただきたい。
そんな思いです。
ぜひ、お考えの方は、ご高覧いただければ幸いです。
ちなみにですが、、、
『ぼくらのいえ』には漢字があります。
『木(ぼ)・暮(く)・楽(ら) のいえ』です。当て字です、、、笑
木と暮らし、暮らしを楽しむ。そんな意味もこめられています。
最後に、、、
モデルハウスの二階です。
朝目覚めてそれぞれの寝室から出た時に家族みんなが必ず見る景色。
実はこの奥の窓の向こうは大きな空と遠く山並みが拡がる景色です。
窓から切り取る景色は日々の自然の変化を一番に感じさせてくれます。
日々それを感じられることは、どんな豊かな暮らしなのかと思います。
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