日々の暮らし 2023.08.07
外構を一手に引き受けてくれている
職人さんに以前言われたことがあります。
｢里山｣は自然の風景とみんな言うけれど、
実は人工的に造られた｢人と森との共生の世界｣
なんだよと…
こんな風景も
このような景色も
実は自然と融合した人工物に
美しさを覚えていたのだと。
人が手をかけ整えることで、
自然的な風景が保たれるという、
ある種の矛盾。
決して否定的なことではなく、
自立循環をするためには、
自然を理解しながら
逆らうことなく恵みを頂くのが、
人としての営みであると。
この事実にとても考えさせられました。
これは私たち住宅建築も同じ関係性で、
抗って考えることはできないのだと
感じました。
暑い時の過ごし方、
寒い時の過ごし方、
ほど良い季節を享受する過ごし方…
ただ外部環境を押さえつけるのではなく、
四季に呼応しながら寄り添い住まう。
私たち設計者として考える事は
その住まい方の柔軟性なのだと。
7月末に引き渡した海にほど近いお宅。
山の緑と海の水平線を見ながら過ごせる
自然に寄り添えた住まいが完成しました。
完成したばかりの無垢の床に
腰を下ろした時の感覚は
飽きるものではありません。
設計は試行錯誤しながら生み出していく。
でも住む心地良さは決して理屈ではない。
先日訪れたお寺さんのつくばいに
描かれていた文字。
吾唯足知 (われただ足るを知る)
満ち足りているはずの恵みを
更に欲張ることで
反って失われてしまった
自然との共生の心。
この住宅設計を通じて
見つめていきたいと思います。
友坂
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