平野 聡史 2025.05.12
こんにちは、設計の平野です。
皆さまゴールデンウイークは
いかがお過ごしでしたか?
私は予定を詰め込みすぎ、
その疲れが抜けずに
連休明けを迎えるという
不甲斐ない状態・・・
もう若くないんだから、、
と言われますが、
私よりも動き回っている先輩方も
いるので負けていられません。
早いことコンディションを整えて
シャキッといきます!
さて、
ありがたいことに、
以前新築やリフォームを
させていただいたお客様からの
リピート工事のお声がけを
多数いただいております。
「子供部屋を間仕切りたい」
というご相談が最も多く、
特に新築時には将来的に
間仕切りをする想定で
電灯・スイッチの配置や下地補強などを
予め施していることが多いため、
スムーズに対応が可能です。
今回は、
「造作家具」のリピート工事施工例の
ご紹介をさせていただきます!
3年ほど前に新築させていただいた、
音楽家ご夫婦のO様宅。
バルコニーの縦格子やデッキ・門柱の
イペ材は経年でシルバーグレーに退色し、
雑木のお庭がいい雰囲気になっていました。
こちらの植木は他社造園屋さんの施工ですが、
山採りの木、特有の山の中で光を求めて
ひょろっと伸びた幹と枝の先に
控えめの葉がついている、
という野趣ある立ち姿に、
私はキュンキュンしてしまいます笑
こちらのお宅は1階に
11帖ほどの音楽室と、
予備室・水周りがあり、
2階がLDKと和室、という間取り。
新築時の音楽室
新築時LDK
新築お引渡し後には、
以前の住まいでお使いになられていた
壁面オーディオボードを再利用
されていましたが、
この度、新たに私共で造作させて
いただくことになりました。
こちらは既設のオーディオボード。
既設オーディオボード
大型の壁面収納で、TV置場の周辺に
PCやプリンター、CDやVHSなどの
機器が納まっていました。
新しく造作するオーディオボードも
同程度の収納量をご希望だったため、
形状は同じように大型の壁面収納に。
扉や引出し類は無くして、
全てオープン棚でOK!というオーダー。
というのも、
上の写真にもある1階の音楽室で
新築時に造り付けたオープン壁面棚の
使い勝手が良く、音楽のレッスンに
来られた生徒さんにもご好評、
ということで
同じような雰囲気に!
というご意向でした。
音楽室では物理的にも見た目にも
重さのあるグランドピアノが
入ることを鑑みて、
内装の材質も少しカタめ、
重めな材をセレクトしました。
オークの床に、
ラワン材の天井板と壁面収納。
お住まい後の音楽室
上手く馴染んだと思っています。
2階のLDKスペースは、
桧の床にシナ材の天井や建具で
やわらかめにしていたため、
新たに造作する材をどうしようか
少し悩みました。
シナだと軽すぎるし、
音楽室と同じラワンだと少し荒いか、、、
ということで、
中庸なタモの柾目材でご提案。
O様と棚の寸法などを打合せし、
折角の造作ですので、中途半端な
スキマが出来ないように設計しました。
オーディオボード設計図
が!これは図で描くのは簡単ですが、
実際の現場で納めるのは
非常に難易度が高い内容です。
しかも設置するのは2階なので
材の搬入方法の問題もあります。
家具職人の井出氏と現地で
綿密に打合せをし、搬入の方法や
箱組みの分割の仕方などを何度か調整、
O様にもご了承いただき、
家具製作に入りました。
迎えた設置日当日。
長さのある下台とカウンター天板は、
階段からではなくバルコニーから
荷揚げすることに。
これは下見の際に想定済みです。
縁側の下台
縁側でお庭を眺めて待機中の下台さん。
この後、私も手伝い3人がかりで
バルコニー内へ。
バルコニーの下台
なんとか無事2階へ
搬入することが出来ました。
組み立ても現地での加工を最小限で
設置できるように考えられています。
まず、土台となる台輪を設置。
台輪
台輪
下台は壁いっぱいでは設置できないため、
手前にコンセントがある側に
4㎝程のゆとりを設け、フィラーで塞ぎます。
フィラー
反対側は既設のコンセント類が
納まるように側板に開口。
コンセント開口
ここまでバッチリ。
山場はこの上にカウンターを
乗せる作業でした。
カウンターは正面から見た時に
ピッタリ納まっているよう、
シビアな寸法で造ってきた井出氏。
新築時と違うのは、
既に壁の珪藻土が仕上がっている
状態ということ・・・
へたをすれば壁にキズが付いてしまいます。
こちらも3人がかりで様子を見ながら
カウンターを少しづつ入れていく・・・
カウンター上から左
カウンター上から右
カウンターの奥側は見えなくなる部分
(両側面の収納が乗る)のため、
入れ込みやすいように
大き目のゆとりを持たせているところに
賢さを感じますが、
手前はピッタリ・・・
すごい精度です。
カウンター左
カウンター右
攻めすぎでしょう!笑
この現場条件下では、
カウンターも下台と同じく
フィラーで納めても良かったんですが、
それじゃあ格好悪いでしょう?
と言い、
逃げをほとんどつくらず
納めてきた職人スピリッツに感服。
カウンター全景
恐らく造ってきた職人が
一番ホッとした瞬間でしょう(笑)
山場は超えたので、
後はお願いします!!と
言い残して私は現場を離れました。
そして、完成後の様子こちら。
完成全景
まるで最初から造り付けて
いたかのように納められました。
床の日焼けあとはクッキリですが、
これは、
以前の収納は本体の裏=壁の間に
配線類を通していたため、
手前に出ていた状態でしたが、
今回は収納内に配線が通せるよう
中仕切りにスリットを設けているので、
(上に載せた下台の写真で見ることができます)
壁にピッタリと固定することが出来ています。
つまり、地震時の家具の倒れ防止にも
なっているということです。
私たちのご提案する住まいは、
このように空間に合い、
住まい手の使い方に合わせた
造作家具を取り入れることを
得意としています。
新築・リフォームのタイミングと
一緒にはもちろんのこと、
お住まい後でも、
既製品では合う物がないな、
とお悩みの方も是非ご相談ください。
それではまた!
平野
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