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スタッフブログ

安藤 るみ子 2017.06.12

種を蒔く

こんにちは。
早いもので6月。
この頃を「芒種」というそうですね。
芒(=のぎ)や穂の出る植物の
種を蒔く頃の事をいうそうです。

関東も梅雨入りしたそうですね。
梅雨と書くように、梅の実なる頃。
果実の美味しい季節でもあります。

我が家でもジューンベリーや山桜桃など
実のなる木にも実がなりましたが、
ほとんど鳥さんに先を越されてしまいました。

20170612andjunberi

果実といえば!

先日久しぶりに映画館で映画を観て来ました。

20170612andpanf

「人生フルーツ」

ご存知ですか?
地方局の作った小さなドキュメンタリー映画。
サブタイトルは〜風と雑木林と建築家の物語〜。
タイトルだけでそそられます。

主人公は、建築家の津端修一さん90歳と
料理が得意な奥様の英子さん87歳。

この笑顔が素敵なご夫婦の暮らしぶりは、
スローライフの先駆者的な存在として
時々メディアでも取り上げられる事がありましたので、
ご存知の方も多いのかと思います。

20170612andhon1 20170612andhon2

何年も前に掲載されていた雑誌の紙面です。

舞台になるお二人のお住まいも愛知県にある
ニュータウンという団地の一角。
300坪の敷地に赤い屋根の小さな平屋が
お二人のお住まいです。

建築家である修一さんが師である
建築家のアントニン・レーモンドの自邸に
倣ったものだそうです。

そういえば、以前軽井沢を訪れた時、
アントニン・レーモンドの「夏の家」を見て、
その質素で可愛らしい建物に
感動したことを思い出しました。

20170612andnatunoie

敷地内にはケヤキやクヌギ、ナラやカエデ、
タケノコ掘りもできる竹林もあり、
また奥様の英子さんが野菜や果実を何十種と
育てています。

90歳になるというのに、お二人は
毎日コツコツ畑の手入れをします。

野菜や果実には、修一さんお手製の
かわいい名札がついていたり、
瓶に水を張り「小鳥さん、水浴びどうぞ!」と
いうコメントの札があったり。

建物はワンルームで玄関がなく、
「好きなところから入ってください」と。
質素でありながら、
外へ対してはおおらかな住まいです。

外の緑を見るための食卓の微妙な
配置に拘っていたり、
高い位置の障子の開け閉めは
慣れた手つきで丈の長い棒を操っていたり。

あちこちにお二人の細やかな気遣いと
工夫が詰まっていましたし、
また畑仕事をされている時の
お二人の若々しさ、表情の優しさ。
素敵な時を重ねて来たのだと思います。

私たちが目指す「優しい暮らし」の
究極のような暮らしぶりです。

元々修一さんはアントニン・レーモンドや
坂倉準三氏などに師事し、
その後日本住宅公団の創設から活躍し、
数々の団地を手がけてきた建築家。

実は、住まわれているこの団地も、
ご自身が手がけられたニュータウンだそうです。

このニュータウンは、1959年に起こった
伊勢湾台風での水害により多くの方が亡くなり、
また多くの住まいをなくしたことで、
高台に新しい街をつくるよう計画された場所。

修一さんが当初描いたマスタープランは、
「地形を活かし、街の中に雑木林を残して
風の通り道を作る」という夢の計画。

けれど、時代は高度成長期。

経済優先の時代からか、
当初思い描いたものとは程遠い、
山は削られ谷は埋められ、
密集した無機質な大規模団地の街と
なってしまったそうです。

その後、修一さんご家族は、
「平らになった土地に里山を回復するには
どうしたら良いのだろう」ということをテーマに、
この土地を自らが住み続けることを選ばれたそうです。

この笑顔の奥に、本当に強い信念と覚悟が
あるように感じました。

「地形を活かし、街の中に雑木林を
残して風の通り道を作る」

おこがましいですが、
まさに私たちが取り組んでいる
環境配慮型設計の源流に感じました。

住まいの計画は、まず、敷地をよむことから。

一軒一軒が考えていくことで、
自分達が住む街づくりにもなります。

作り手の大きな責任です。

この映画の中で、ナレーションは樹木希林さん。
柔らかな声で時折同じフレーズが響きます。
「風が吹けば、枯葉が落ちる
枯葉が落ちれば、土が肥える
土が肥えれば、果実が実る。
コツコツ、ゆっくり、、、」

熱く語ってしまいましたが、
きっとこの映画は、
目で見て耳で聞いて空気感を感じて、
考えさせられると思います。

豊かな暮らしって何だろう

豊かな住まいってなんだろう

豊かな街づくりってなんだろう

私のような小者が、図々しいとは思いますが、
観て感じ、ずっと考え続けていこうと
思わせていただきました。

芒種のこの頃に、
優しい暮らしの先駆者が後世に残すために
種を蒔いたドキュメンタリーを観ることができ感謝です。

もちろんすぐ真似できることではないですが、
今、させていただいている住まいづくりの
お仕事や目の前にある暮らしを
とにかく丁寧に毎日コツコツ、
一生懸命取り組んでいこうと思います。

奥様の英子さんは

「次の世代に残せるのは、
お金ではなく、何でも育つ良い土」と。
だから、毎日コツコツ土を耕す。

とても印象に残った言葉でした。

庭のヤマボウシにも花が咲きました。
ヤマボウシは上向きに花が咲くので、
2階のバルコニーから眺められる位置に
植えています。

こういった植栽も少しは街づくりに役に
立ててれば幸いです。

20170612andyamaboushi1 20170612andyamaboushi2

安藤

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