日々の暮らし 2017.07.31
こんにちは。暦ではいよいよ大暑。
一年で最も蒸し暑い日が続く最も不快な頃ですね。
この頃に降る一雨に恵みの雨と感謝したいところですが、
今年もあちらこちらで豪雨の影響による被害を聞くと、
素直に一雨に感謝することも憚られます。
なんとか穏やかな天になってくれることを祈るばかりです。
被災された方々には心よりお見舞い申し上げます。
住宅を考えるうえで、こういった暑さ寒さを
和らげる効果を検討することも大事です。
住宅設備の性能を上げることにより、
そういった問題にも対応できるよう
技術は日々進化しています。
その大きな要素の一つが、「窓」です。
窓、いわゆる日本のサッシと言われるものは
従来のアルミ製から、結露のしづらい樹脂へ変わりつつあり、
ガラスはシングルガラスからペアガラスへ、
また金属膜をガラスに組み込むことにより、
遮熱や断熱に配慮したものが一般的となりつつあります。
環境配慮型設計の取り組みの中でも
窓については配慮した設計を心がけています。
それは暑い季節には風を運んでくれるものであったり、
寒い季節には陽を取り込んでくるものであったり。
その窓一つ一つにしっかりと役割を考え、
効果を発揮してくれるものであってほしいと思います。
そして窓はまた外観の意匠に大きく影響します。
さらに室内からは、外とつながる唯一の
場所としての役割もあります。
そんな窓の好きなコマーシャルがあります。
以前、YKKさんのTVコマーシャルを
ご覧になられたことはありますでしょうか?
猫ちゃんが出てくるコマーシャルで、
窓の中の世界を映画のようにストーリー性を
持たせた微笑ましいものでした。
そしてキャッチコピーが
「窓がある、物語が生まれる」
というもの。
そうか、窓にも物語があるのか、、、
なぜ、そこに窓はあるのか、、、
その意味を温熱環境に配慮した
根拠に基づきながら検討するとともに、
この窓の向こうにどんな微笑ましい物語があるのか、
ワクワクしながら検討します。
先日お引渡しさせていただいた鎌倉市のT様でも、
リフォームでありながらも窓1つ1つに意味ある空間になりました。
お父様が自作されたという既存のウッドデッキを活かしながら、
その先の紫陽花が美しく室内の視界に飛び込んできます。
窓装飾には上下に可動する和紙調のプリーツスクリーンを。
上方からの視界や陽射しを遮りながら、下方の視界を広げ、
陽射しも穏やかに室内へ運んでくれます。
キッチンに立った時、ダイニング側に目をやると
先ほどの窓が目に入ります。
直射を避けたキッチンの位置でも、
ふと目線の先に陽射しや外の緑が感じられることも
日々の喜びになることと思います。
リビングのとなりには瞑想部屋となる和室。
通常の2Mほどの高さだった間仕切りの建具を取り払い、
天井の高さまである格子の建具を設けました。
トーメイガラスにしたことで和室まで視界がつながり、
より拡がりを感じられるようになりました。
格子戸の先の壁には腰高の窓がありました。
思い切って地窓とし、上方を壁面とすることで、
格子越しの風景にも背景ができます。
地窓には一本引きの障子を開けると、
窓一面が見えてきます。
その先は玄関へのアプローチですので、
ゆくゆく背の低い植物を植え、低い視線で
外との繋がりをもたせたりしていただく予定です。
実はちょうど完成でお伺いさせていただいた時、
この障子越しに木の影が映り込み、
影絵のように美しい設えとなりました。
写真を撮り逃して残念!
別の事例ですが、ちょうどこんな風に。
障子の趣はそういったところもまた味わい深いのです。
東側に面するダイニングの出窓は遮熱ガラスの窓に
入れ替えさせていただきました。
隣家はなく空が開放的に見える窓であり、
目隠しになる程度の生け垣がありましたので、
その眺めをそのまま活かさせていただきました。
窓装飾にはガラス面に添って
光のコントロールのできるブラインドを。
また夏場の塞ぎきれない陽射し対策として、
こちらも和紙のプリーツスクリーンを設けさせて
いただきました。
花の映える窓になりました。
T様では玄関部分を大きく間取り変更しています。
閉鎖されていた間仕切りの壁を取り払い、リビングに向け、
また和室に向け、格子の戸でつなげています。
和らかな光が玄関までも届き、間仕切り方を工夫することで、
隣接するお部屋の窓からの光や風を取り込むことができ、
それぞれの空間がとても生かされてきます。
↓別のお宅ですが、こちらは階段を降りる時、
朝の気持ちいい光やお隣の庭の緑を感じながら
心地よく階下へ向かえるよう考えた窓です。
外観では正面になるので、クロスを描くような
デザインになってシンボリックな存在になっています。
窓がある、、、
完成してその考えた意味が実感できると喜びも一入です。
根津美術館のロビー。
階段を降りる時、全面に窓があり、
まるで外の階段を歩いているような
外との一体感のある窓。
住宅では不向きですが、
やっぱり気持ちがいいですね。
そして私は何より、
夜帰宅した時の我が家の灯りが
漏れる窓がほっとします。
コマーシャルでは猫ちゃんでしたが、
我が家では愛犬きなこが
まだかまだかと待ちわびてくれています。
窓の向こうに、皆様の笑顔があふれる
暮らしの物語がありますように。
安藤
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