安藤 るみ子 2017.09.25
こんにちは。気づけば高い秋空。
風の匂いもすっかり秋めいてきましたね。
自身の食欲もすっかり秋めいてきました(汗)
食欲の秋にとどまらず、スポーツの秋、
読書の秋、芸術の秋、、、そして行楽の秋。
秋は忙しい季節ですね。
ここ数年、年に一度のリフレッシュ休暇を
秋に取らせて頂くことが続いています。
いただいた休暇を利用して、
どこか秋旅に出かけることにしています。
秋の風の匂いを感じるとそんな秋旅を思い出します。
そんな旅先で、なぜか「石」に出会っている
ことに気が付きました。
私たちの環境配慮型設計のパンフレットでも
優しい素材の自然素材として石について触れています。
今回はそんな石の魅力や可能性について触れたいと思います。
まずは海外編。
フィンランド ヘルシンキにて。
石の教会と呼ばれるテンペリアウキオ教会。
フィンランドの土地は岩盤で、
至る所に岩盤をくり抜いてできた建造物がありました。
この教会もその一つ。
岩盤をくり抜き、そのままの姿で建築物になっているのです。
洞窟の中にいるようなのに、丸く描かれたガラスを通して
自然光が降り注ぎ、圧倒的な自然美の教会でした。
こちらは軽井沢の石の教会。
こちらはもう10年前くらい、友人の結婚式で訪れました。
友人の花嫁姿にもこの荘厳な空間にも圧巻でした。
四国高松牟礼にあるイサムノグチ庭園美術館。
イサムノグチは日系アメリカ人の彫刻家であり、
デザイナーで、世界的な芸術家。
庭や公園などの環境設計なども行い
幅広く活躍された20世紀を代表する芸術家です。
この地は「庵治石(あじいし)」の産地。
彫刻の石を求めこの土地を訪れ、
晩年、風光明媚なこの土地で製作の拠点と
されたそうです。
古い民家を移築して居を構え、作業小屋を建て、
庭園を築いています。
写真は庭園を囲む庵治石の石垣で、
その中に作品が置かれています。
石垣はその向こうに広がる景色と調和するように
綿密に積まれ、奥に映る小山に登ると、
そのさらに向こうには瀬戸内海とその島々が広がります。
この石垣は現地の石工さんたちにより積まれたそうですが、
設計図があったものの、現地を見たイサムノグチ氏に
何度も現地調整されながら、長い時間をかけて
出来上がったそうです。
周りの景観に馴染むよう丁寧に積まれた石垣は、
景観に溶け込みつつ圧倒的な存在感でした。
外から写真が撮れるポイントも指定されていて、
分かりづらくてすみません、、、。
周囲はやはり石の街。
沢山の石切場がありました。
その後立ち寄った高松市街のカフェでも、
室内空間に庵治石がこんな風に使われていました。
昨年、松田町の石屋さんの社屋の新築に
携わらさせて戴いた際、折角なので、
是非、石で何か作ってください!と
お願いしましたところ、、、
なんと、手洗い用の化粧台を作って戴きました。
そしてエントランス前の土間では板石を敷き、
石屋さんらしいお出迎えを。
地下空間のこの採掘場跡は、
地上とはまるで異次元の世界。
平均気温も8℃。
中はとにかく圧巻。
地上の光の差し込みが幻想的です。
資料によると、約1500万年前、
日本列島の大半がまだ海の中にあった頃、
火山が噴火し、火山灰や軽石が堆積して
大谷石が誕生したそう。
江戸時代頃から主に建築物で使われてきた
大谷石は、私たちに一番馴染みがあるかもしれません。
昔はツルハシを使って手掘りで切り出していたそうです。
地球が生み出し、人の手により造られた幻想的な空間に
ずっと鳥肌ものでした。
大谷石は耐火性、加工性に優れ、
近年ではマイナスイオン効果も確認され、
癒しの自然素材としても注目されています。
葉山S様邸。リビングの壁面に。
横浜K様邸。玄関の土間に。
黒磯にあるCAFE SHOZOのインテリアショップでは、
こんな使い方。
多孔質であるため、やわらかく、
空気に触れると変色していきます。
これも無垢材と同じで
自然素材だからこその経年変化です。
さて、
最後に、京都 大徳寺 瑞峯院の石庭。
石と砂利で川や海など自然を表現した日本の庭。
こうした庭は、
なかなか現代の住宅の庭にはないことですが、
時折こうした場所へ訪れると、
古来より日本人は自然界のものに命を感じ、
慈しむ美的感覚を養ってきたのだなと、
感慨深くなります。
石は元々大地が生み出したもの。
まぎれもなく自然素材です。
私たちの暮らしの近くに上手に取り込み、
街の景観ややわらかな住まいづくりに
活用していかれればと思います。
安藤
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