安藤 るみ子 2017.11.13
こんにちは。
スイカズラの実。
別名を忍冬(ニンドウ)といいます。
冬を耐え忍ぶという意味だそうです。
いつの間にか立冬も過ぎ、束の間の秋も過ぎ去り、
日に日に冷え込んできましたね。
歳を重ねるごとにもっぱらインドア派の私ですが、
これからの季節は特にぬくぬくとおうちで過ごす時間が大好きです。
左は我が家の玄関先のマルバノキ。
落葉のこの季節。
外では風で葉がかさかさと重なり合ったり、
落葉した葉っぱが地上で絡み合ったりする音が、
家の中からでも聞こえると、秋の終わりを感じます。
まだ初秋の頃、安曇野にある「ちひろ美術館」へ行ってきました。
言わずと知れた絵本作家のいわさきちひろさんの美術館です。
北アルプスを背景に、山と重なるような三角屋根の建物が
連なり控えめに佇んでいます。
元の豊かな原風景を壊さぬよう、周囲の風景と一体になっています。
長く緩やかなアプローチも、一歩ずつ進みながら、
遠くの山々や足下の池や草花を眺め、
今いるこの土地をちゃんと感じられるような演出でした。
エントランスから入ってもすぐに中庭があり、
そこでまた外と繋がることで、
とても自然に建物の中に促されます。
設計は、内藤廣さん。
構造体はRC造ですが、屋根となる小屋組みは木造です。
材木屋さんで手に入る限界のサイズの唐松を
梁として使用しています。
何とも美しく、また、天井が木であること、
またそれが住宅スケールであることで、
包み込まれるような居心地の良い空間です。
建物を目立たせるのではなく、
景観を活かし控えめに訪れる人を包み込むような設計は、
本当に圧巻です。
設計するにあたって、
本当に色々なものが見えていて、
緻密な計画をしてらっしゃるのには、
感服します。
建物の中には、あちらこちらに腰掛けられる木の椅子が点在しています。
家具は住宅の建築家で、私たちも敬愛する中村好文さん。
訪れる人たちにそっと寄り添ってくれるように、そこに居てくれます。
ずっと座っていたくなるような、居心地のいい空間と椅子。
住まいにも通じるようにも思いました。
こちらはちひろ美術館と同じ敷地内にある、
いわさきちひろさんの黒姫山荘。
中には入れないので、ガラス越しの撮影で
写真が見づらくてすみません、、、。
実はこの美術館を訪れ、一番感動した場所です。
元は、野尻湖を望む黒姫高原に建てられたものを
移築されたそうです。
アトリエを兼ねたこの山荘は、1966年、
女性建築家奥村まことさんが設計されたそうです。
4間四方のコンパクトで簡素な建物の中に、
暮らすのに必要なものがギュッと
詰め込まれています。
1つ1つの配置が簡素でありながらとても丁寧な設計です。
この居心地の良さそうな窓際の腰掛け。
一段上がった和室。
今、私たちが居心地を追求している中で、
理想的なつくりかもしれません。
それは決して平面的なことだけではなく、
高さの設定も大きく影響しています。
住まいづくりにおいて、住まう方の居心地を
よくすることは一番大切なことです。
生活の中心になるLDKは特に居心地の
良さに気を配りたいと思います。
さて、先日リフォームが完成したばかりの
伊勢原のお住まいでは、キッチンから一直線で
畳コーナーまで繋がるようダイニングテーブルを
つくらさせていただきました。
お子様達はすでに独立され、ご夫婦2人、
これから新しい暮らしがはじまります。
北側にあったキッチンは陽のあたる南側へ
持ってきているので、今までよりLDKは
面積的には狭くなりました。
ですが、明るいキッチンとゴロゴロできる
畳コーナーの距離感は、ご夫婦2人、
互いの気配も感じられる居心地のよい
空間になったと思います。
畳コーナーは一段上げていることで、
キッチン側との目線の高さも合い、
見上げたり見下ろしたりせずの関係性です。
互いの不快感を感じないよう重要な高さの配慮です。
椅子はただいまお探し中ですが、
こんな風に、それぞれの居心地のよい
椅子をみつけていただければと思います！
もっぱら愛犬きなこの居心地のよい居場所は、
陽のあたる暖かなこの場所です。
それぞれの居心地のよいところのある
お住まいをつくっていきたいと思います。
安藤
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